財務・業績情報

決算概況・2023年3月期 決算概況

詳細は「2023年3月期 決算短信」をご覧ください。

  • 連結

連結経営成績 (%表示は対前期増減率)

(百万円) 2022年3月期 2023年3月期 増減率 (%)
売上高 94,900 117,125 23.4%
営業利益 3,444 10,950 217.9%
経常利益 3,634 11,218 208.7%
親会社株主に帰属する当期純利益 2,471 8,221 232.7%

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連結貸借対照表(要約)

(百万円) 2022年3月期
(2022年3月31日)
2023年3月期
(2023年3月31日)
増減額
資産の部
流動資産合計 56,698 58,868 2,170
固定資産合計 13,303 22,024 8,721
資産合計 70,001 80,893 10,891
負債の部
流動負債合計 27,864 30,489 2,625
固定負債合計 10,584 8,585 △1,999
負債合計 38,449 39,075 626
純資産の部
純資産合計 31,551 41,817 10,265
負債純資産合計 70,001 80,893 10,891

連結キャッシュ・フロー計算書(要約)

(百万円) 2022年3月期 2023年3月期 増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー 7,980 12,561 4,580
投資活動によるキャッシュ・フロー △1,586 △7,642 △6,056
財務活動によるキャッシュ・フロー 1,385 △725 △2,110
現金及び現金同等物に係る換算差額 0 △0 △0
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) 7,779 4,193 △3,586
現金及び現金同等物の期首残高 24,510 32,304 7,793
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 14 - △14
現金及び現金同等物の期末(四半期末)残高 32,304 36,497 4,193

経営成績等の概況

1.当期に関する定性的情報

(1)経営成績に関する説明

ウクライナ情勢の長期化により国内経済の先行きに対する不透明感は残るものの、ウィズコロナへの政策転換により社会経済活動は徐々にコロナ前の水準に戻りつつあります。コロナ禍で我慢を強いられた人々が余暇の重要性を再認識する中で、当社が果たすべき役割も、その重要性を増しています。

当社は、当社の経営理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現のために、従来のパチンコファン以外にも多くの方々を幸せにしたいと願い、グローバルコンテンツビジネスの展開を悲願としておりました。2003年3月のJASDAQ市場上場を機にコンテンツビジネスに進出し、翌年の公募増資により、多数のコンテンツの取得や、2005年にはゲーム会社(株)ディースリー・パブリッシャーの株式を取得し米国に進出、2010年には(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアを子会社化するとともに、2011年には小学館グループとの協業によりコミック誌『月刊ヒーローズ』を創刊するなど、上場来、グローバルコンテンツビジネス推進に必要となる様々なナレッジとノウハウを蓄積して参りました。

(株)円谷プロダクションでは、「ウルトラマン」の海外利用権での訴訟を抱えており、海外展開に大きな制約がありました。そのため、訴訟問題の解決に取り組む一方で、海外展開に向けて優秀な人材の確保や体制整備、また中国・ASEAN地域でのウルトラマン関連作品の露出によるブランドの浸透など、着々と準備を進めて参りました。2020年3月に当該訴訟で勝訴が確定したことにより、グローバル展開は急速に拡大しました。特に、既に高い好感度を構築済みであった中国市場においては、トレーディングカードを中心としたウルトラマングッズの広範な販売網の構築に加え、2022年7月には上海海昌海洋公園内にウルトラマンエリアがオープンするなど、中国市場におけるウルトラマンブランドの浸透に成功致しました。国内でも、2022年5月に劇場公開した映画『シン・ウルトラマン』は、作品性への高い評価が幅広い年代層の新たなファン拡大につながり、ウルトラマンブランドの浸透に寄与致しました。
当期において、当社の悲願であったグローバルコンテンツビジネスが軌道に乗り始めました。これを機に持株会社化し、グローバルコンテンツビジネスを展開するに相応しい名称である「円谷フィールズホールディングス」に改称致しました。

PS市場では、メーカー各社の開発努力やホールの経営努力の結果、新規則に対応した遊技機がユーザーに受け入れられ、当期には市場拡大に向けた明るい兆しが見え始めました。この10年近くに亘り、相次ぐ規則改正やコロナ禍の影響からメーカー数は減少し、ホールの大型化が進みホール数は減少しています。これにより、市場全体の競争環境が適正化されるとともに、今後は大きな規則改正の実施が想定されないことから、市場は安定的に推移していくことが予想されます。
パチンコ業界は、1970年代に手打ち式から電動式への大変革を経験しておりますが、扱いやすい機種の登場により、玄人中心だったユーザーは、女性やお年寄りまでそのすそ野が拡大致しました。2022年に登場したスマート遊技機は、ゲーム性が高く、玉やメダルが無いため遊技環境の改善につながる、電動式以来の産業革命に匹敵する新時代の遊技機であり、潜在的なユーザー層の獲得につながることが予想されます。

21世紀の成熟した社会に暮らす人々に、より上質な余暇を提供していくことは当社グループの社会的使命であります。時代とともに変化する人々の余暇ニーズを的確に捉えながら、持株会社体制のもと成長領域に積極的に経営資源を投下して事業創造に取り組み、次世代のエンタテインメントの創出に挑戦し続けて参ります。



(図1)企業理念「すべての人に最高の余暇を」の実現に向けて(~2023/3)

当連結会計年度における業績は下記の通りです。

コンテンツ&デジタル事業セグメント
成長力のダイナミックな推進を担う(株)円谷プロダクションに関しては、中国での人気を背景にウルトラマン関連の低価格帯商品の販売が急伸し、中国からのライセンス収入が大きく伸長致しました。
日本国内においては、2022年5月に劇場公開された映画『シン・ウルトラマン』は、11月にはAmazon Prime Videoで独占配信が開始されるなど、通期を通じて新たなファン層の獲得に貢献しました。夏・冬休みに開催した各『ウルトラヒーローズEXPO』の来場者は昨年を大きく上回り、また2023年2月には映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』の公開効果もあり、ウルトラマングッズの販売は好調に推移しました。
加えて、3月に映画『グリッドマン ユニバース』が公開された効果もあり、オウンドメディアであるTSUBURAYA IMAGINATIONの登録者数は大きく増加しました。

(図2)(株)円谷プロダクションの事業収入の推移 (単位:百万円)


この結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントの当会計年度における業績は、売上高14,532百万円(前期比59.6%増)、営業利益4,378百万円(同198.8%増)となりました。


PS事業セグメント
スマート遊技機の登場は業界にとっての産業革命であり、新規ユーザー獲得のチャンスと捉えております。2022年11月に導入されたスマートパチスロ(以下、「スマスロ」)は依然好調であり、2023年4月以降に導入されるスマートパチンコ(以下、「スマパチ」)への期待も大きく、当業界は安定的な成長期を迎えつつあります。
収益力の中核を担うフィールズ(株)は、当期において、パチンコ7機種、パチスロ6機種、合計21.9万台を販売致しました。年度通じて業界最大の販売台数となった『Pゴジラ対エヴァンゲリオン ~G細胞覚醒~』を筆頭に、数々のヒット商品を販売することができました。また、『パチスロ犬夜叉』を始めとした利益率の高いプライベートブランドが好調で、業績に寄与致しました。

この結果、PS事業セグメントの当会計年度の業績は、売上高100,808百万円(前期比20.4%増)、営業利益7,714百万円(同340.7%増)となりました。

その他セグメント
その他事業は堅調に推移した結果、当会計年度の業績は、売上高2,305百万円、営業利益75百万円となりました。

以上の事業活動の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高117,125百万円(前期比23.4%増)、営業利益10,950万円(同217.9%増)、経常利益11,218百万円(同208.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は税効果会計に基づく法人税等調整額(859百万円)の計上もあり8,221百万円(同232.7%増)となりました。

(2)来期の見通し

コンテンツ&デジタル事業セグメント
グローバルで(株)円谷プロダクションのブランドを確立し、永続的な成長を目指すために、まずは中国・ASEANにおいて確固たるウルトラマンブランドを確立すべく、具体的に以下の施策に取り組んで参ります。
中国では、10年超に亘り映像作品の露出を継続してきた結果ウルトラマンは幅広い年代に受け入れられ、当社が行った調査でも、その好感度・認知度は他のIPを大きく凌駕しております。圧倒的な集客力を誇る上海海昌海洋公園内のウルトラマンエリアに続き、2023年5月には大連の海昌発現王国内にもウルトラマンエリアがオープン、更に複数のテーマパークでもウルトラマンエリアの開設が予定されております。ウルトラマン人気を背景に、トレーディングカードは引き続き成長を見込むとともに、中国全土に構築された広範な流通網を活用し、玩具以外の商品の拡大にも取り組んで参ります。中国は日本と比べ人口は11倍以上、国土は25倍、GDPは4倍を超える巨大な市場です。中国市場の開拓はまだ緒についたばかりであり、更なる市場開拓に取り組んで参ります。
ウルトラマンブランドは他ASEAN諸国にも浸透し始めています。中でも、インドネシア、マレーシア及びタイ王国ではウルトラマンの認知度が高いため、中国で成功したビジネスモデルを横展開して参ります。現地企業等と協力して、トレーディングカードや新たな商材を製造・開発するとともに、広範な販売網を構築して参ります。年度内にはASEANをカバーする拠点をシンガポールに設立し、上記3カ国に順次拠点を設ける予定です。
2023年7月にスタートするテレビ番組『ウルトラマンブレーザー』は、中国・ASEAN地域で吹替版によりサイマル配信される初の映像作品となります。
日本国内では、2023年5月より『ULTRAMAN』FinalシーズンがNetflixで世界独占配信されます。2023年初夏には、西武園ゆうえんちでライド・アトラクション『ウルトラマン・ザ・ライド』がオープンする予定です。インバウンド市場も見込みながら、その他テーマパークでのウルトラマン関連アトラクションやウルトラマンショーの開催も検討して参ります。このような施策を通じて日本国内においてもウルトラマンの露出を高めることで、ファン層を更に拡大して参ります。
北米については、Netflix制作のウルトラマンのアニメ映画が2024年に世界同時配信される予定ですが、公開に先立ち、米国ロサンゼルスに子会社を設立し、より具体的な取り組みを進めて参ります。
また、並行して円谷プロダクション保有の既存IPの活用や時代に沿った新規IPの創造にも注力して参ります。
海外展開やIP創造による成長戦略を確実に遂行していくため、2023年5月に「新卒・キャリア採用説明会」を開催するなど、今後も優秀な人材を積極的に採用して参ります。
以上の結果、来期のコンテンツ&デジタル事業セグメントは、売上高18,000百万円(前期比23.9%増)、営業利益6,000百万円(同37.0%増)を見込んでいます。

PS事業セグメント
来期のパチンコ業界は、「スマスロ」のニーズが引き続き強く、市場をけん引していくものと予想されています。また、「スマパチ」は市場投入が「スマスロ」より遅れましたが、年度の後半から本格的に市場に浸透していくものと想定しております。
フィールズ(株)は、パチンコ、パチスロを月に各1機種、年間各12機種を販売できる体制の構築を進めておりますが、業界内では部材調達に関してまだ若干の不透明感もあり、来期についてはメイン機種として年間パチンコ7機種、パチスロ9機種、合計26万台の販売を計画しております。魅力的な商品を投入していくことで、ホールやファンの皆様のご期待に応えて参ります。
以上の結果、来期のPS事業セグメントは、売上高104,000百万円(前期比3.2%増)、営業利益8,000百万円(同3.7%増)を見込んでいます。

2024年3月期の連結業績予想は、売上高123,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益12,000百万円(同9.6%増)、経常利益12,200百万円(同8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,500百万円(同3.4%増)を見込んでおります。

(注1)記載の数値は全て当社推計によるものです。
(注2)記載の商品名は各社の商標または登録商標です。

(3)利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当

当社は、企業価値の向上を経営の重要課題と位置付け、利益に応じた適正な配当を行うことを基本方針としております。一方、市場環境の急激な変化に伴い、中長期的な視点で財務基盤の安定化を図り、収益拡大に向けた投資資金の確保を優先することが、将来的な企業価値向上も含めた最大の株主還元につながると判断しております。
当期の配当につきましては、期末配当を1株につき30円とし、2023年6月21日に開催予定の第35回定時株主総会に付議する予定です。
また、次期の配当予想につきましては、期末配当を1株につき30円と予定しています。

(4)当期の財政状態の概況

  • 資産の部
    流動資産は、58,868百万円と前連結会計年度末比2,170百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加によるものです。
    有形固定資産は、5,295百万円と前連結会計年度末比756百万円の増加となりました。これは主に建設仮勘定の増加によるものです。
    無形固定資産は、2,888百万円と前連結会計年度末比405百万円の増加となりました。これは主にソフトウエアの増加によるものです。
    投資その他の資産は、13,841百万円と前連結会計年度末比7,558百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加によるものです。
    以上の結果、資産の部は80,893百万円と前連結会計年度末比10,891百万円の増加となりました。
  • 負債の部
    流動負債は、30,489百万円と前連結会計年度末比2,625百万円の増加となりました。これは主に短期借入金の増加によるものです。
    固定負債は、8,585百万円と前連結会計年度末比1,999百万円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少によるものです。
    以上の結果、負債の部は39,075百万円と前連結会計年度末比626百万円の増加となりました。
  • 純資産の部
    純資産の部は、41,817百万円と前連結会計年度末比10,265百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものです。

(5)当期のキャッシュ・フローの概況

    当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,193百万円増加し、36,497百万円となりました。
    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

  • 営業活動によるキャッシュ・フロー
    営業活動の結果得られた資金は、12,561百万円(前年同期は7,980百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益11,127百万円、棚卸資産の減少2,330百万円、法人税等の支払額1,213百万円、有償支給取引に係る負債の減少1,105百万円によるものです。
  • 投資活動によるキャッシュ・フロー
    投資活動の結果使用した資金は、7,642百万円(前年同期は1,586百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出5,126百万円、固定資産の取得による支出1,344百万円、出資金の払込による支出1,012百万円によるものです。
  • 財務活動によるキャッシュ・フロー
    財務活動の結果使用した資金は、725百万円(前年同期は1,385百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純増減額5,349百万円、長期借入金の返済による支出5,051百万円、配当金の支払645百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出486百万円によるものです。