財務・業績情報

決算概況・2024年3月期 決算概況

詳細は「2024年3月期 決算短信」をご覧ください。

  • 連結

連結経営成績 (%表示は対前期増減率)

(百万円) 2023年3月期 2024年3月期 増減率 (%)
売上高 117,125 141,923 21.2%
営業利益 10,950 11,827 8.0%
経常利益 11,218 12,947 15.4%
親会社株主に帰属する当期純利益 8,221 11,551 40.5%

決算概況リストに戻る

連結貸借対照表(要約)

(百万円) 2023年3月期
(2023年3月31日)
2023年3月期
(2024年3月31日)
増減額
資産の部
流動資産合計 58,868 64,848 5,979
固定資産合計 22,024 33,290 11,266
資産合計 80,893 98,139 17,246
負債の部
流動負債合計 30,489 30,610 120
固定負債合計 8,585 11,682 3,097
負債合計 39,075 42,293 3,217
純資産の部
純資産合計 41,817 55,845 14,028
負債純資産合計 80,893 98,139 17,246

連結キャッシュ・フロー計算書(要約)

(百万円) 2023年3月期 2024年3月期 増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー 12,561 5,563 △6,997
投資活動によるキャッシュ・フロー △7,642 △4,101 3,540
財務活動によるキャッシュ・フロー △725 △3,145 △2,420
現金及び現金同等物に係る換算差額 △0 0 0
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) 4,193 △1,683 △5,876
現金及び現金同等物の期首残高 32,304 36,497 4,193
現金及び現金同等物の期末残高 36,497 34,814 △1,683

経営成績等の概況

1.当期に関する定性的情報

(1)経営成績に関する説明

当連結会計年度における我が国の経済は、30年続いた長期低迷からの脱却を見据えた展開となっています。2023年5月に新型コロナウイルス感染症による制限が解除され、企業活動や人流増加が経済の活性化を押し上げる要因となりました。物価高騰はあるものの賃上げが消費マインドを刺激して内需の好循環をもたらし、宿泊・飲食やエンタテインメントなど広くサービス業界への追い風となっています。また訪日外国人数は2024年3月に過去最高を更新し、さらに34年ぶりの円安が国内での旺盛な消費の原動力となっています。一方世界では、長引くロシアによるウクライナ侵攻に加えハマスとイスラエルの武力衝突拡大など地政学的リスクはあるものの、アメリカ経済の底堅さもあり、世界経済はやや上向きで推移しています。

このような経済状況の中、当社グループは強力なキャラクターを核に複合コンテンツビジネスの一層の強化を推進し、「グローバルコンテンツ企業」に向けて着実なスタートをきりました。
コンテンツ&デジタル事業では、今や世界にファン層が拡大しつつある「ウルトラマン」をキーキャラクターとして、映像作品での世界観の構築とキャラクターブランディングを実施しています。その世界観を顧客が体験できるライブ・イベントやテーマパーク内ウルトラマンエリアの開設、さらにオリジナルのキャラクター関連商品の開発などメディア横断的な事業展開でグローバルにファン層の深耕と拡大を進めています。
また、PS事業では、日本最大の余暇産業の一つである遊技機業界の健全な発展に貢献すべく、魅力的なIPを活用し、定性・定量データに基づくユーザーニーズを充たした機種の開発を提携メーカーとともに進めています。
この2事業を軸として、当社グループの理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現を目指して参ります。

当連結会計年度の連結業績は、売上高141,923百万円(前期比21.2%増)、営業利益11,827百万円(同8.0%増)、持分法による投資利益の計上があり経常利益12,947百万円(同15.4%増)、(株)ソフィアの買収による負ののれん発生益等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益11,551百万円(同40.5%増)となりました。

各事業セグメントの概況は、以下の通りです。

コンテンツ&デジタル事業セグメント
1966年に誕生した「ウルトラマン」は昭和、平成、令和と作品を紡ぎ、日本国内では祖父から孫の3世代に愛されるヒーローとして定着しています。さらにデジタル技術との融合により、より魅力的なヒーローとして、CMキャラクターへの登用や商品コラボレーション、ライセンス収入の増加などその価値と認知度が向上しています。さらに、キャラクタービジネスのビックマーケットである中国では、「平成ウルトラマン」や「ニュージェネレーション」を中心とした映像作品を積極的に展開した結果、キャラクターの好感度、浸透度が増し、これが他のアジア諸国などでのウルトラマン人気を牽引しています。2次元の映像作品をベースに、3次元イベントやマーチャンダイジングなどの複合的戦略によりグローバルなキャラクターとしてのビジネスの展開が図られています。一方で、キャラクタービジネスの健全な発展においては知的財産権の保全が最重要課題の一つであり、生成AIなどの先進技術によるフェイクキャラクター作成などに対しては対抗措置を講じ、キャラクターのブランド価値を保つ体制を構築して参ります。
MD/ライセンス事業は、当期は玩具、アパレル・ファッション等、幅広く商品カテゴリーポートフォリオを拡充致しました。これにより、特定の商品の動向に左右されにくい、より強固な収益基盤を構築することができました。
世界的なブームとなっているカードゲームは、よりゲーム性の高いトレーディングカードのグローバル展開に向け準備を進めており、中国、北米、アジア及び日本において順次販売を開始する予定です。このため、現在販売されているカードゲームにおいては、新商品発売をにらんだ調整の動きがありました。
映像・イベント事業では、テレビシリーズの後継映画作品『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』が2024年2月に国内166館、アジア6ヵ国・地域で公開され、さらに3月にはTSUBURAYA IMAGINATIONでの配信もスタートしています。テレビ、映画、配信という異なるメディアでの映像作品展開により、今まで接触機会のなかった層へのファン拡大が図られています。
また、ウルトラマンの世界観のリアル体験を目指して、中国では4ヵ所のテーマパークで常設ステージを備えたウルトラマンエリアが開設され、多くの家族連れが訪れる人気スポットになっています。また国内におけるウルトラマンショーは集客が拡大しています。
日本では、夏・冬休みに開催された『ウルトラヒーローズEXPO』やファン向けイベント『ツブラヤコンベンション』は盛況でチケットはいずれも完売、グッズ販売も好調でした。ウルトラマングッズを扱うオフィシャルショップに、海外ウルトラマンファンがオリジナル商品を求めて訪れる姿も多く見られました。
ウルトラマンの世界観に触れたファン層の拡大がグッズ販売に結びつき、ライセンス商品の拡充につながる好循環を生み出しています。


※「玩具」カテゴリーは「カードゲーム」を除いております。

最先端のCG映像制作技術を有する(株)デジタル・フロンティアは、Amazon Prime Video『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』、Netflix『幽☆遊☆白書』のVFX制作に加え大型アニメ映画やゲーム案件を受注しています。加えて、「デジタル・ヒューマン」技術を活用した新規領域での取り組みを進めています。(株)ユニキャストと共同開発したアバター遠隔接客サービス「KSIN」は、経済産業省により「IT導入補助金2023」の対象に認定されました。

以上の結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントの当連結会計年度の業績は、売上高153.3億円(前期比5.5%増)、営業利益は37.8億円(同13.6%減)となりました。

PS事業セグメント
PS事業は「収益力」を担う事業の一つであり、フィールズ(株)を中核に「唯一無二のディストリビューター」として、市場環境に左右されない経営体制を構築しつつ中長期的な目標に向かい、着実に事業を推進しています。
当期(2024年3月期)の遊技機業界における市場販売台数は、パチンコ約84万台(前期比15%減)、パチスロ約82万台(同26%増)、計約166万台(同5%減)となりました。パチスロは、2022年11月にスマートパチスロが投入されて以降、多くのヒット機種が登場しパチスロ設置台数全体のうち、約35%がスマート機へと移行しました。また、パチンコは当期よりスマートパチンコの導入が開始されたものの、パチンコ設置台数のうち約4%に留まっています。一方で、2024年3月に新たに登場した「ラッキートリガー」搭載のパチンコがユーザーから高い支持を獲得し好調に推移していることから、今後はパチンコに対するパーラーの投資意欲も回復することが見込まれます。

こうした中、当期のPS事業セグメントでは、パチンコ7機種18.7万台(前期比23.6%増)、パチスロ6機種7.2万台(同6.7%増)、計26.0万台(同18.4%増)を販売し、市場シェアは14.7%(前期は12.9%)となりました。
以上の結果、PS事業セグメントの当会計年度の業績は売上高1,255.9億円(同24.6%増)、営業利益104.1億円(同35.0%増)となりました。

当期の販売実績は下表の通りです。

[PS事業セグメントの遊技機販売台数]

[2024年3月期の主な販売タイトル]

その他事業
その他事業の当会計年度の業績は、売上高1,607百万円、営業利益19百万円となりました。

(2)来期(2025年3月期)の見通し

2025年3月期における各事業セグメントの見通しについては以下の通りです。

コンテンツ&デジタル事業セグメント
中長期でのコンテンツ&デジタル事業の成長に向けて、2025年3月期はその基盤づくりに重点を置き様々な施策を行って参ります。
映像作品はグローバル戦略の要の一つであり、映画・配信・テレビ、ゲームなど多メディアにおける映像企画を積極的に進め、ウルトラマンのブランディングをより強固なものにする事業展開を実施していきます。これに伴い、キャラクター商品・サービスを提供することで顧客体験に広がりをもたらし、マネタイズの最大化を目指します。
2024年6月14日より、Netflix映画『ウルトラマン:ライジング』が全世界に向けて配信されます。「親子」、「家族」をテーマにすべての世代で楽しめる新たなウルトラマンストーリーとして制作された本作は、今までのウルトラマンファンの方だけでなく、北米などグローバルに新たなファン層を拡大していく好機と捉えています。本作のプロモーション活動に合わせ、パートナー企業と協力しながら様々な商品展開を北米中心に積極的に行って参ります。
7月からは新番組『ウルトラマンアーク』が世界同時期に放送・配信開始となります。
2024年中には満を持して新しい「ウルトラマンカードゲーム」の販売を開始します。本商品展開を確実な成功に導くため、大規模な宣伝広告展開を予定しております。
ウルトラマンがこれからも長く愛されるキャラクターであり続けるには、映像作品をきっかけにウルトラマンに関心を持った新たなファン層の開拓・拡大が不可欠です。そのために国内外でのライブ:イベントや中国テーマパーク内でのウルトラマンエリアの拡大にも引き続き取り組んで参ります。

世界のVFX市場は、2030年に約10兆円規模になるとの予想もある中で、第96回アカデミー賞において「ゴジラ-1.0」が邦画作品として初めて視覚効果賞を受賞し、日本のVFX技術に世界の注目が集まっています。(株)デジタル・フロンティアは、今後の飛躍的な成長に向け、長期的な視点に立ちグローバル市場向けコンテンツ制作の体制の整備を進めて参ります。

以上により、2025年3月期のコンテンツ&デジタル事業セグメント業績は、売上高180億円(前期比17.4%増)、営業利益は広告宣伝費を積極的に投入するため40億円(同5.8%増)を計画しています。
なお、コンテンツ&デジタル事業セグメントにつきましては、5ヵ年の新・中期経営計画を策定し、5月15日に発表させていただく予定です。

PS事業セグメント
多様化する余暇において、パーラーは豊かな地域社会の形成に貢献するために、大きな変革を求められています。現在、スマート遊技機の導入促進により島設備と遊技機の自由な空間設計が可能となっています。そうした動きに機敏に対応すべく2024年3月に島設備提供のトップ企業である(株)エース電研(2024年3月期営業利益実績;28億円)を連結子会社化、パーラーに対して遊技空間のイノベーションを提供することで遊技機業界の健全な発展に貢献して参ります。
2025年3月期は、パチンコ8機種、パチスロ12機種の販売を計画しています。引き続き、魅力的なIPを活用したユーザーニーズを充たす機種開発を提携メーカーとともに進めて参ります。
以上により、2025年3月期のPS事業セグメント業績は、売上高1,350億円(前期比7.5%増)、営業利益135億円(同29.7%増)を計画しています。

【連結業績】
2025年3月期の連結業績は、売上高1,550億円(前期比9.2%増)、営業利益は152億円(同28.5%増)、経常利益は161億円(同24.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は116億円(同0.4%増)を計画しています。

(3)利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当

当社は、企業価値の向上を経営の重要課題と位置付け、利益に応じた適正な配当を行うことを基本方針としています。一方、市場環境の急激な変化に伴い、中長期的な視点で財務基盤の安定化を図り、収益拡大に向けた投資資金の確保を優先することが、将来的な企業価値向上も含めた最大の株主還元につながると判断しています。
当期の配当につきましては、期初に1株あたり30円の期末配当予想を発表、その後2024年2月9日付「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」にて1株あたり10円の増配を発表し、計40円としています。
当期の配当につきましては、上述の通り期末配当を1株につき40円とし、2024年6月19日に開催予定の第36回定時株主総会に付議する予定です。
また、次期の配当予想につきましては、期末配当を1株につき40円と予定しています。

(注1)記載の数値は各社・各団体の公表値または当社推計によるものです。
(注2)記載の商品名は各社の商標または登録商標です。

(4)当期の財政状態の概況

  • 資産の部
    流動資産は、64,848百万円と前連結会計年度末比5,979百万円の増加となりました。これは主に仕掛品の増加によるものです。
    有形固定資産は、9,440百万円と前連結会計年度末比4,145百万円の増加となりました。これは主に土地の増加によるものです。
    無形固定資産は、2,402百万円と前連結会計年度末比485百万円の減少となりました。これは主にのれんの減少によるものです。
    投資その他の資産は、21,447百万円と前連結会計年度末比7,606百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加によるものです。
    以上の結果、資産の部は98,139百万円と前連結会計年度末比17,246百万円の増加となりました。
  • 負債の部
    流動負債は、30,610百万円と前連結会計年度末比120百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少および未払法人税等の増加によるものです。
    固定負債は、11,682百万円と前連結会計年度末比3,097百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。
    以上の結果、負債の部は42,293百万円と前連結会計年度末比3,217百万円の増加となりました。
  • 純資産の部
    純資産の部は、55,845百万円と前連結会計年度末比14,028百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加および非支配株主持分の増加によるものです。

(5)当期のキャッシュ・フローの概況

    連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,683百万円減少し、34,814百万円となりました。
    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

  • 営業活動によるキャッシュ・フロー
    営業活動の結果得られた資金は、5,563百万円(前年同期は12,561百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益13,811百万円、棚卸資産の増加4,558百万円、仕入債務の減少4,371百万円、売上債権の減少3,926百万円、法人税等の支払額2,643百万円によるものです。
  • 投資活動によるキャッシュ・フロー
    投資活動の結果使用した資金は、4,101百万円(前年同期は7,642百万円の支出)となりました。これは主に持分法適用関連会社株式取得による支出3,167百万円、固定資産の取得による支出1,762百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入1,732百万円、投資有価証券の取得による支出439百万円、貸付けによる支出370百万円によるものです。
  • 財務活動によるキャッシュ・フロー
    財務活動の結果使用した資金は、3,145百万円(前年同期は725百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出3,617百万円、長期借入れによる収入2,950百万円、配当金の支払額1,959百万円によるものです。