2011年3月期 決算説明(要旨)

2011年5月13日(金)12:00より、ベルサール神保町(東京都千代田区)にて、2011年3月期決算説明会を開催いたしました。
本ページでは、説明会での大屋社長並びに繁松専務の説明(要旨)をご案内いたします。

代表取締役社長 大屋

挨拶

代表取締役社長 大屋

ご多忙のところ弊社決算説明会にお越しいただき感謝申し上げる。
私より2011年3月期実績、2012年3月期見通し、中期経営計画レビューについて説明する。続いて、専務の繁松よりグループ事業の状況について説明する。




2011年3月期 総括

⇒席上配布資料 3ページ
当期のトピックスとして、まずは売上高・経常利益・当期純利益、いずれも2006年3月期水準を超え、過去最高を更新した。ポイントは2点である。
(1)パチンコ・パチスロ分野の収益が大幅に伸張したこと。
(2)グループ各社の収益が回復に転じたこと。
とくに、パチスロ遊技機販売が過去最高の販売実績である21.7万台(前年同期9.8万台増)を計上した。「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」5.5万台(継続販売中)、「新鬼武者」6.2万台、「俺の空~蒼き正義魂~」3.8万台、「戦国BASARA2」1.6万台とバランスの取れたラインナップで過去最高の販売台数となった。
また、グループ事業においても連単差で見るとプラス2.1億円の営業利益となった。2012年3月期は赤字子会社のほぼ全てで経営改善の見通しがたっており、今後、大幅に収益が伸長するものと考えている。

<経営基盤強化>
PS・フィールドにおいては、開発子会社である(株)Fと2011年3月期に取得した(株)マイクロキャビンの2社が貢献を始めた。一方で、様々な経営基盤強化に努めている。
当社はコンテンツ会社あるいはソフト会社という認識のもと、自らの手でIP(知的財産)を創出すべく、(株)小学館クリエイティブと共同で(株)ヒーローズを設立した。種々、コンテンツ創出に邁進している。
社内体制の強化では、コンテンツを買ったり、借りたりすることに加え、創る、ブラッシュアップするために、「コンテンツ本部」を新たに設置した。

<配当>
配当は、2012年3月期は通期で5,000円、連結配当性向20.8%を予定している。
連結配当性向目標は20%以上であるため、この水準以上の利益を出し、増配できるよう努力したい。

2011年3月期 P/L実績

⇒席上配布資料 4ページ
売上高は、パチスロ遊技機販売台数が2010年3月期の2倍近い実績となり、大きく業績を牽引した。
経常利益は、持分法適用関連会社の(株)ロデオの好調により、持分法投資利益が寄与した結果、営業外収益を押し上げたため増加した。
特別損失では、東日本大震災関連の損失等をわずかに計上したが、その他特筆すべき事項はない。

2011年3月期 遊技機販売実績

⇒席上配布資料 5ページ
パチンコ遊技機販売は、2010年3月期は33万台であったが、2011年3月期は4機種発売の26万台の実績となった。「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」が前作対比では若干の減少となったが、販売台数の貢献は依然として大きい。2機種はライトバージョンであるため、販売台数は多くはない。第4四半期の「CRカンフーパンダ」は、営業利益の貢献は大きくないが、稼動が良好であったため次機種に繋がる結果を残せたと考える。

パチスロ遊技機販売は、「新鬼武者」が追加受注分6万台強、「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」が追加分約1万台、「ガメラ」1.4万台、「俺の空」3.8万台、「戦国BASARA2」1.6万台となった。また、3月下旬に発売開始した「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」は5.5万台計上されたが、現在、累計約7万台強まで販売が伸びており、2012年3月期には約2万台程度が計上される予定だ。

ご参考:パチンコ・パチスロ販売台数及び業績推移

⇒席上配布資料 6ページ
パチスロ遊技機販売は、4号機から5号機への移行期で半減したものの、その後ラインナップの 拡充、商品力の向上によって4号機時代の水準を突破した。パチンコ遊技機販売は若干減少したものの、パチンコ・パチスロ販売トータルの業績寄与はプラスとなった。その結果、売上高・経常利益・当期純利益は過去最高を更新することができた。

2011年3月期 連結B/S(要約)

⇒席上配布資料 7ページ
2010年12月末から変化はない。なお、短期借入金が発生しているが、(株)マイクロキャビンの連結子会社化にともなうものである。(株)マイクロキャビンは、キャッシュ・フローの面では健全な会社であるため全く問題ない。

2011年3月期 連結C/F(要約)

⇒席上配布資料 8ページ
(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティア、(株)マイクロキャビン、3社の新規連結子会社化により、投資活動によるC/Fが前年対比で30億円強のキャッシュ・アウトとなったが、営業活動によるC/Fが80億円となった。以上の結果、現預金は依然として高水準であり、現金及び現金同等物の期首残高はプラス、期末残高は横ばいで推移した。

2011年3月期 セグメント別状況

⇒席上配布資料 9ページ
PS・フィールドの営業利益は、2010年3月期81.3億円から2011年3月期128.6億円と大幅に伸長した。
モバイル・フィールドの営業利益は3.9億円から2.3億円の減少となったが、売上高は伸長した。営業利益の減少要因は、非常に成長力の高い分野であるため、新サービスの立ち上げに積極的な投資を行ったことによるものだ。
スポーツエンタテインメント・フィールドは赤字幅が縮小した。当期も再編を行っており、赤字を撲滅するためのドラスティックな戦術を考えている。
その他・フィールドの営業利益は3.1億円となった。
グループ事業トータルの収益として、PS・フィールド以外のセグメント単純合算営業利益は2.6億円となり、プラスへ転じた。当期はこれを10億円程度まで目指したいと考える。

パチンコ・パチスロ市場環境

現在のパチンコ・パチスロ市場環境についてコメントする。
東日本大震災にともなうパチンコホールの営業自粛や計画停電などの間接的なマーケットへの影響をみるにあたり、ゴールデンウィーク(GW)の市場データは実に興味深いと言える。
近年のGWの1日あたりパチンコ稼動は、毎年2,000 個/台ずつ落ち込んでいたが、今年は前年とほぼ同様の約24,000個/台であった。震災直後は大きく落ち込んでいたものの、稼動が戻り全体としては活況であった。1日あたりのパチスロ稼動は、約12,000枚/台の水準と好調が持続した。
ホールとしては、震災による影響は最小限に留まり、客足が戻ってきたのではと実感している。パチンコは射幸性の高いMAXタイプの自主規制によるマイナスもあったが、GWから最近にかけてはミドルタイプの稼動も良く、全体の稼動や収益を押し上げたと分析される。

ご参考:全国パチンコ・パチスロ設置及び販売台数推移

⇒席上配布資料 11ページ
当社はファブレス企業のため、販売台数計画の開示を行っていないが、当社のマーケットポジションについて説明する。この資料は、当社は流通なので、販売シェアという考えのもと、当社独自にまとめたものだ。メーカーの製造販売シェアでは無いのでご留意願いたい。
パチンコ遊技機販売シェアは2009年3月期6.1%、2010年3月期9.5%、2011年3月期9.1%という推移であった。パチスロ遊技機販売シェアは同14.1%、18.9%、24.5%と推移し、販売シェアが大幅に増加した。

ご参考:市場販売シェア推移

⇒席上配布資料 12ページ
この資料も当社調べである。繰り返しとなるが、メーカーの製造販売シェアとは異なることをあらかじめご理解いただきたい。パチンコ・パチスロの当社販売シェアは、次の通り上位に位置している。
<パチンコ遊技機販売シェア>
2006年3位、'07年4位、'08年6位、'09年5位、2010年4位と、3位から5位の間に位置している。なお、パチンコ遊技機販売シェアとは、ビスティブランドが90数パーセント、その他は他社メーカー機の販売も含めた数値だ。
<パチスロ遊技機販売シェア>
2006年4位、'07年トップ、'08年2位、'09年、2010年は連続でトップであった。2010年は25%と2位に圧倒的な差をつけ、業界トップの座を2年連続で維持した。
マーケットポジションは強固なものになりつつあり、提携メーカーの(株)SANKYO、サミー(株)に対して大きな貢献ができていると自負している。

2012年3月期 業績見通しの前提条件

⇒席上配布資料 13ページ
業績見通しの前提として、東日本大震災による影響を説明する。
(1)東京電力管内・東北電力管内での電力不足によるホールへの影響について。
先ほどのGWのデータで示すように、震災による自粛の影響は少ない。電力不足については、ホールは輪番休業という形で対応する予定であるが、あくまで輪番であるため3月末~4月中旬にあった営業時間短縮などの状況とは全く異なる。
(2)東北の工場が被災したことによる電子部品の調達について。
当社の上半期タイトルについては、ほぼ電子部品調達の目処がたっているが、9月以降の商品については一部不透明な点がある。従って、中間期の業績開示は、ミスリードを避けるため開示を控えさせていただいた。なお、直近に発売予定の「CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語 -序章-」については、部品調達を完了している。

当社の見通しとして、パチンコ遊技機は、(株)ビスティから「CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語 -序章-」、「ヱヴァ」シリーズを含め、大型タイトルを複数予定している。京楽産業.(株)の提携第1弾タイトルは、投入時期を調整中だ。
パチスロ遊技機は市場が回復基調にあり、(株)ロデオ、(株)ビスティとも大型タイトルを予定している。
グループ事業は赤字の会社を改善し、黒字の会社で利益をあげる体制が整ってきている。

2012年3月期 業績見通し(連結)

⇒席上配布資料 14ページ
上述の前提を考慮し、2012年3月期の業績見通しは、売上高1,000億円、営業利益140億円、経常利益140億円、当期純利益80億円とした。
売上高は、パチスロ遊技機よりパチンコ遊技機が伸びる前提である。電子部品調達の影響を鑑みた予想とした。上半期については先ほど説明した通り、開示を控えさせていただく。いずれにしても、商品構成上、下半期に偏重となることをご理解いただきたい。

配当及び配当予想

⇒席上配布資料 15ページ
配当については、4,000円が2期、4,500円が3期、そして5,000円を2期継続とする予定である。2012年3月期業績見通しの当期純利益では、配当性向は20.8%となるが、これは配当性向目標の20%以上だから良い、とは考えていない。
過去最高益を達成し、配当も過去最高を更新できるよう邁進する。

中期経営計画 進捗レビュー 営業利益目標

⇒席上配布資料 16ページ
2011年3月期中計は、営業利益目標140億円に対して、実績131億円であった。「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」の期ズレがなければ、達成できたということで及第点である。
当期の期初見通しは営業利益140億円でスタートするが、あくまで中計の170億円目標を達成すべく努力する。
3年前からスタートした中期経営計画だが、市場環境が大きく変化している。中計策定から3年目の本年が見直しの時期である。引き続き、2014年3月期に 250億円目標を掲げられるよう努力する。

専務取締役 繁松

挨拶

専務取締役 繁松

このたび、当社グループ会社である(株)円谷プロダクションのコンテンツ「ウルトラマン」を用いて、「ウルトラマン基金」を設立した。基金の主旨は、とくに被災された、未来への希望の光である子供たちに心からのエールと物資を贈り、そして、子供たちの未来のために永続的に支援活動を展開していくことである。
4/10に被災地(宮城県石巻市、南三陸町、気仙沼市)を訪問し、子供たちにウルトラマンショーや、九重親方及び清原氏の握手・サイン会を実施させていただいた。改めて、被災地の現実を目のあたりにし、そして子供たちのヒーローに対する温かい想いを感じた。
これからもウルトラマンを含め、当社のヒーローコンテンツが被災地の子供たちにも届くようしっかり努めていきたいと思う。なお、「ウルトラマン基金」については継続的に続けていく。

2011年3月期 グループ事業実質収益力

⇒席上配布資料 18ページ
グループ事業の実態をよりご理解いただくため、今回、新たな資料を準備した。
セグメント別状況に含まれている「のれん償却額」「グループ共有コンテンツ開発投資コスト」を分解し、グループ事業の実質収益力を説明する。
モバイル・フィールドは、対前年で営業利益は低下したが、将来に繋がる投資を行ったためであり、将来も有望である。
スポーツエンタテインメント・フィールドは、市場環境、マーケット成長性を考えて当期大きく舵を取りたいと考えている。
その他・フィールドは、(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの子会社化による「のれん償却額」が年間2.7億円、パチンコ・パチスロ分野に展開するコンテンツを含めた「グループ共有コンテンツ」への投資として(株)ヒーローズに1.2億円の投資が含まれ、実質収益力は7.1億円となる。
これらを踏まえ、グループ事業の実質的な収益力をみると、全体として7.2億円の収益力がついてきたとみることが出来る。

グループ事業 総括

⇒席上配布資料 19ページ
当期のグループ事業は、実質収益ベースで10億円以上を目指す。2011年3月期に7.2億円まできたため、十分に達成可能だと考える。
パチンコ・パチスロメディアは当社の一番の強みであり、モバイル、オンラインサービス分野のメディアを第二の収益の柱とするべく努める。パチンコ・パチスロ系コンテンツ、その他コンテンツをハンゲーム(NHN Japan(株))との連動などで展開する。ウルトラマンもIPの活性化を図っていく。

モバイル・フィールド

⇒席上配布資料 20ページ
2009年3月期16億円の売上高が、2011年3月期は20億円まで伸長した。収益は、積極的な投資もあり、そのコスト計上により2.3億円となったが、会員数の推移は2011年3月時点で60万人レベルまで増加した。
新たな施策として、アイピー・ブロス(株)が本年4月からサービスインした。約数十万人の会員のうち、約1~2万人が常時接続しているというハイレベルのサイトに成長している。立ち上がりの状況は良い。

モバイル・フィールドの今後は、以下の二方向である。
(1)PS・フィールド連動型のモバイル・サービスの拡充
(2)PS以外のその他エンタテインメント分野へのサービス拡充
特に(2)は、ハンゲームとの連動や、パチンコ・パチスロのコンテンツとして難しくても、モバイル・フィールドでは適正が高いという傾向のコンテンツを獲得しながら、会員数拡大と収益拡大を図っていく。

スポーツエンタテインメント・フィールド

⇒席上配布資料 21ページ
2009年3月期の売上高35億円から、事業の整理統合により、2011年3月期は21億円となった。ただし収益は、5億円強の赤字が2.2億円の赤字にまで縮小した。今後、当然、2.2億円の赤字を0、そして黒字化するための施策をスタートしている。ブランディングとしてのスポーツという価値の位置づけは確保しつつ、収益は黒字化を目指して努力する。

その他・フィールド

⇒席上配布資料 22ページ
その他・フィールドとひとくくりにするには数字が大きくなっている。
2009年3月期に1億円の売上高が、2011年3月期は58億円まで伸長した。営業利益は5.8億円の赤字が3.1億円の黒字まで回復した。さらに、のれん償却分等を含めると約7億円強の実質収益力がついてきたとみることが出来る。

<(株)円谷プロダクション>
昨年の映画は直近3年で最低の興行収入となるが想定内であった。当期以降のウルトラマンのIP再構築は着実に進展しており、国内のみならずワールドワイドに展開できるよう、訴訟の件も含めて準備をしている。

<(株)デジタル・フロンティア>
非常に好調に推移している。国内におけるコンピュータ・グラフィック制作のニーズは間違いなくあり、今後は海外からもオファーが来ると想定される。最近の代表的な実績は映画「GANTZ」があり、同作品のVFXは(株)デジタル・フロンティアが担当した。

<ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント(株)>
アニメ事業を拡充するため立ち上げ、先行投資を3年間続けてきた。今年度、価値の高い映画の作品公開を予定している。3D関連事業については整理統合を行っている。黒字事業に集中する体制で、今後は収益力のある体制を形成している。

<(株)ヒーローズ>
(株)小学館クリエイティブとの共同プロジェクトで(株)ヒーローズを設立した。東日本大震災の影響があり、現在、2011年9月に創刊を予定している。二次展開を意識したコミック作りに取り組んでいる。また、さまざまな大手出版社とのコンテンツ開発が進行している。

ビジネススキーム2010

⇒席上配布資料 23ページ
パチンコ・メディアが大きな柱であるが、パチンコ以外のメディアでもビジネスを展開し、エンタテインメント企業としてのフィールズを構築するのが、このビジネススキーム。きちんと、トラックレコードを残し始めている。
パチンコ以外のメディアについては、基本的に自社単独というより、各メディアの大手会社とプロジェクト、もしくはジョイントベンチャーという形式でビジネス拡大を図る。
現在、流行しているコンテンツを預かり、パチンコ以外のメディアで全面的に展開していく具体案もある。当期に発表した見通し数値を上回るよう、当社グループ一丸となって努力していく。