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2012年3月期 決算説明会 当社説明(要旨)

2012年5月10日(木)12:00より、大手町ファーストスクエア・カンファレンス(東京都千代田区)にて、2012年3月期 決算説明会を開催いたしました。
本ページでは説明会での当社説明(要旨)についてご案内いたします。

代表取締役社長 大屋

挨拶

本日はご多忙のところ、弊社決算説明会にお越しいただき感謝申し上げる。

私より2012年3月期実績、2013年3月期見通しに加え、当社グループが目指すキャラクターをはじめとしたIPビジネスの「成長するビジネスモデル」を説明する。続けて、専務の繁松からエンタテインメント事業について説明する。

00. 2012年3月期振り返り

⇒席上配布資料 3ページ

2012年3月期を振り返ると、東日本大震災の発生により、多くの尊い人命が失われた。深く哀悼の意を表する。また、多くの産業も影響を受けた。

パチンコ産業も同様に大きな変動に見舞われた。上半期は、パチンコホールでは深刻な電力不足に対応するための節電対策として、自主的な営業時間短縮やネオンの消灯、業界団体の申し合わせによる輪番休業などを実施した。メーカーは、電子部品工場の被災に伴うサプライチェーンの寸断により、販売タイトルの遅延・減少が発生した。下半期はこれに加え、タイの洪水の影響によって部品調達が一部困難になり、人気機種の一部で販売遅延などが発生した。具体的には、5万台以上の大型タイトルが下半期に集中した。

パチンコ・パチスロ販売タイトル数(当社調べ)を分析してみると、上半期はパチンコが前年同期29機種減の92機種、パチスロが同8機種減の53機種であった。サプライチェーンが復旧した下半期は、パチンコが同14機種増の106機種、パチスロが同8機種減の48機種であった。下半期のパチスロは、各メーカーの大型タイトルが集中する特徴的なマーケットであった。通期合算では、パチンコが同15機種減の198機種、パチスロが同16機種減の101機種で、パチンコ、パチスロいずれもタイトル数が減少する結果となり、上半期の東日本大震災の影響が色濃くでた結果と言える。

01. 総括

⇒席上配布資料 4ページ

当社の2012年3月期業績並びにパチンコ・パチスロ販売実績は、表の通りである。

パチスロは、3月に販売した「モンスターハンター」の受注分の一部が次期にずれ込む結果となったが、受注ベースでは前年を上回る販売実績であった。
パチンコは、ビスティブランド1機種を2012年4月1日以降の内規変更に対応した仕様とするために投入期を変更した。準備が整い次第、発表したいと考えている。

エンタテインメント分野では、IPを主軸にしたビジネスの観点から、コミック「ヒーローズ」や映画「ベルセルク」のように、パチンコ・パチスロを含めた多様なメディアで価値を最大化するというフィールズ本来のビジョンに基づき、投資を継続した。

このたび当社では、決算短信の「経営方針」に記載の通り、ビジネスモデルを分かりやすく再構築し、利益だけではなくビジネスモデルそのものの成長を目指すことを発表した。詳細は後述する。

02. セグメント別状況

⇒席上配布資料 5ページ

パチンコ・パチスロ分野以外のセグメント別実績については表の通りである。

モバイル・フィールドは、前期と比較して利益が減少しているが、これはセグメント開示の都合上、一部のモバイルコンテンツの実績がフィールズ個別(PS・フィールド)に計上されているためであり、モバイル関連の実績が低いという意味ではないとご理解いただきたい。
スポーツエンタテインメント・フィールドは、経営改善が進み黒字化した。
その他・フィールドは、営業損失ではあるが、これはコミック「ヒーローズ」創刊や映画「ベルセルク」などIP取得・創出への投資を進めた結果である。


<パチンコ・パチスロ市場の動向>

ご参考[1]: パチンコ市場 タイプ別設置シェア動向(当社調べ)

直近のパチンコ・パチスロ市場動向について説明する。

ホールのパチンコ機タイプ別設置シェア動向であるが、甘デジタイプ(1/150未満)は安定的に推移し、MAXタイプ(1/370以上1/400未満)及びミドルハイ(1/320以上1/370未満)と類されるタイプは縮小傾向が続いている。「CRヱヴァンゲリヲン7」のミドルローや「CR必殺仕事人4」のライトミドルに類されるタイプの設置シェアが拡大してきている。ファンのニーズが「射幸性の高い仕様」から「魅力的なコンテンツを有し、射幸性が低く比較的遊べる仕様」へシフトしてきていると考えられる。

ご参考[2]: パチンコ 稼動動向(当社調べ)

パチンコ稼動動向は、2007年~2008年は高水準(約25,000個/日・台)で推移していた。2009年以降は射幸性の高いMAXタイプの台頭もあって、2011年まで下降傾向が続いたが、2011年以降はミドルローやライトミドルの普及もあり、安定的な水準(約20,000個/日・台)で横ばいとなり、底打ちしている印象がある。

ご参考[3]: パチスロ 稼動動向(当社調べ)

パチスロの稼動動向は、2007年10月に5号機に完全シフトして以降、大きく低下(約9,000枚/日・台)していたが、2010年以降は、ARTタイプと類される遊技機を中心に回復し、直近は拡大基調(約11,000枚/日・台)が続いている。なお、現在の稼動実績は、4号機の後半期と同じ水準である。

ご参考[4]: 2012年3月期(4月~3月)販売有力タイトル(当社調べ)

2012年3月期のパチンコ市場において、4万台以上販売された有力タイトルは15機種であった。このうち当社の販売機種は、「CR浜崎あゆみ物語」「CRヱヴァンゲリヲン7」の2機種であった。2013年3月期は、ビスティブランドのラインナップ拡充に加え、「オッケー.」ブランドの投入を予定している。

一方、パチスロ市場においては、1.5万台以上販売された有力タイトルは17機種であった。このうち当社の販売機種は、「旋風の用心棒~胡蝶の記憶~」「ヱヴァンゲリヲン~生命の鼓動~」「モンスターハンター」の3機種であった。パチスロは自社・他社とも、下半期に大きなヒットとなる機種が集中した。

ご参考[5]: パチンコ・パチスロ新機種の販売状況(当社調べ)

市場でのパチンコ新機種販売台数は、前期と変わらない水準であったと推測している。一方、パチスロは前期を大きく上回り100万台を超えた水準になったと推測している。


<2013年3月期 通期見通し>

03. 2013年3月期 通期見通し(連結)

⇒席上配布資料 6ページ

2013年3月期の当社のパチンコ・パチスロ販売見通しについては、まず投入機種数を増やす予定である。販売台数としては、約7万台増となる48万台の販売を見込んでいる。

これを踏まえ、当社の2013年3月期 通期連結見通しは、売上高1,150億円、営業利益140億円、経常利益145億円、当期純利益73億円を予定している。

これはパチンコ・パチスロ販売計画にもとづいて、当然達成しなければいけない数値であると考えている。したがってリスク要因としては、予定販売タイトルがすべて発売できるか否かという点である。

なお、このたび2Q累計の業績見通し発表を控えたが、基本的に当社では年次での業績管理を行っていることを、ご理解いただきたい。

04. 配当実績及び配当予想

⇒席上配布資料 7ページ
2013年3月期配当は、2012年3月期と同額の通期5,000円を予定している。また、2013年3月期は、より良い業績を達成することで、その業績に応じた配当を実施したいと考えている。

05. 中期経営計画 進捗レビュー

⇒席上配布資料 8ページ
中期経営計画の進捗については、表の通りである。今般、ビジネスモデルを中長期的に安定して成長するためのモデルに見直しており、あわせて数値計画も本モデルに沿うように見直しをかけていくことを考えている。具体的には、従来はパチンコ・パチスロでの計画、モバイルでの計画など、メディアごとの計画で管理していたが、今後は全体が協調してIPを育成する仕組みを機能させていく方針だ。


<当社グループが目指すキャラクターをはじめとしたIPビジネスのモデル>

06. 上場来のビジネスモデル

⇒席上配布資料 9ページ
当社は2003年の上場来、企業の競争優位性の基盤としてIPの多元展開を基幹とする戦略を打ち出し、一貫してこのビジネスモデルを推進してきた。マンガ、アニメ、映画、テレビドラマ、音楽、ゲーム、スポーツなどの分野で優良IPを取得し、パチンコ・パチスロ分野においては、エンタテインメント性の高い遊技機を世に送り出すことでパチンコ・パチスロ市場の健全化と活性化に寄与してきた。一方で、当社は、クリエイティブに秀でた企業や人材、最先端技術を有する企業などと連携し、取得したIPをパチンコ・パチスロ以外のメディアで展開する新たな挑戦を続けてきた。

07. 成長するビジネスモデル

⇒席上配布資料 10ページ
(本項目につきましては、あわせて2012年3月期決算短信 8ページ 「経営方針」 をご参照下さい)

上場来のビジネスモデルの取り組みを通じて、IPの取得のみならず、円谷プロダクションのように優良IPを保有する企業や、日本最大手のコンピュータ・グラフィックス制作プロダクションであるデジタル・フロンティア、映画「ベルセルク」を公開した、日本アカデミー賞受賞チームを擁するルーセント・ピクチャーズエンタテインメントなどの企業をグループに迎え入れてきた。さらには、パチンコ・パチスロの映像を開発できる開発チームなど、力強い会社が当社グループの中に育ちつつある。その力を有機的に繋げていくモデルがこの「成長するビジネスモデル」である。

※図:席上配布資料P.10参照

(1)『コミックス』は、IP創出の源泉であり、原作・ストーリー・キャラクターを取得・創造していく。
(2)『アニメーション』は、デジタル化によるIP活性化を図るため、最先端の技術を活用してコミックスの有力作品の映像化を推進していく。
(3)『映画/テレビ』は、IPの普及と価値最大化のため、映画やテレビを通じて作品の認知度向上と価値拡大を図っていく。
(4)『マーチャンダイジング』は、多様なメディアでの商品化を通じて収益化を図っていく。

例えば、「ヱヴァンゲリヲン」というコンテンツはお借りしたものだが、当社が2004年にパチンコ機として投入し、ヱヴァの再ブームに火をつけた。結果、新しいシナリオで描かれた映画も公開されるに至り、それによってさらにパチンコ・パチスロ機がシリーズ化できることになった。その一連の中で、ヱヴァのファンが新たに増え、DVDやグッズも売れた。こうした流れをヱヴァ以外にも当社グループの中でムーブメントとして創り上げたいと考えている。

ご参考[6]: IP取得・創出の実績‐代表例

現在のIP取得・創出の例として、「ヒーローズ」、「ベルセルク」、「ウルトラマンサーガ」を紹介する。

コミック「ヒーローズ」は、小学館クリエイティブ社とともに2011年11月に創刊し、現在7号まで発売している。
「ベルセルク」は、世界全体で3,600万部を発行するマンガで、グローバルに知名度のあるIPであり、その映画の第1部を2012年2月に公開した。また第2部の映画公開を2012年6月に予定している。
映画「ウルトラマンサーガ」は、2012年3月に公開し、前作を上回る興業収入となった。

こうしたIPを様々なプラットフォームやメディアでファンを増やしていく動きを加速させていく。そのために組織を2012年4月に大きく変更した。

ご参考[7]: 「ヒーローズ」でのビジネスモデルイメージ

例えば「ヒーローズ」のビジネスモデルでは、コミックスからスタートし、アニメ、テレビシリーズ、映画化して、最後にマーチャンダイジング、SNS、コンシューマプロダクツ、パチンコ・パチスロによって収益化を図る。全ての領域でファンを増やし、IPの価値を高め、収益化を図り、それをもう一度コミックスに還流するという流れを目指している。

ご参考[8]: 「ベルセルク」でのビジネスモデルイメージ

「ベルセルク」のビジネスモデルは、もともと白泉社のコミックスが存在し、それをお借りして当社グループで企画・プロデュースを行い、まずは映画とした。今後はテレビへの展開、そしてマーチャンダイジングやSNS、パチンコ・パチスロ化を視野に入れている。まさにひとつのIPによるマルチメディア展開を考えており、全体のムーブメントの中でIPのファンを増やし、価値・収益の最大化を図る動きを当社グループ全体で推進していく。

専務取締役 繁松

ご参考[9]: エンタテインメント事業 実質収益力及び見通し

開示上のセグメント情報では読み取れない状況を説明する。

パチンコ・パチスロ以外のエンタテインメント事業の合算(セグメントの単純合計)は、昨年やっと黒字化したセグメントが当期は赤字にみえるが、前年同期において約7億円程度であった実質収益力でみると、2012年3月期は約10億円増となった。フィールズ本体でハンドリングしているソーシャル向けサービスが寄与している。

2013年3月期については、ヒーローズは、創刊キャンペーンなどのイニシャルコストがなくなるので、収益的には黒字化するものとみている。主力のソーシャルゲームは順調に進捗し、会員数も増加している。

ソーシャルゲームではコンプガチャの問題がクローズアップされているが、当社のIPを活用したサービスでは数パーセントの影響にとどまるとみている。したがって、全体では当社で計画している収益に対してはさほど影響はないと判断している。

有力IPのゲーム展開(当社ではインタラクティブメディアという言い方をしている)では、ソーシャルゲーム、コンソール系ゲーム、AR(拡張現実)を使ったカードゲームの投入も検討している。

また、その他のコンテンツに関連したものもソーシャルゲームやその他の展開を予定しており、2013年3月期はインタラクティブメディアでの収益拡大を今まで以上に図っていきたいと考えている。

当社がコンシューマプロダクツと位置づけている、PSの景品も含めたマーチャンダイジング全般に関したビジネスを2013年3月期から本格化させていきたいと考えている。

モバイル・フィールドの補足として、まずアイピー・ブロスはハンゲーム社との協業により、順調に利益を出している。フューチャースコープは「Pspace」というサービスを6月末で停止する決断をし、先般発表した。これが当期の収益に影響した。現在、立て直しを急ピッチに図っており、2013年3月期は黒字化していく。

スポーツエンタテインメント・フィールドは、ジャパン・スポーツ・マーケティングの清算が終了し、黒字で採算のとれているフィットネスビジネス事業を今後も展開していく。

円谷プロダクションでは、「ウルトラマン」という知名度と現実の収益力のギャップを改善するため、ビジネス構造の見直しを図っていく。

以上