フィールズ デジタルアニュアルレポート2017

中期経営計画

[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデル

マトリクスモデル

1. マトリクスモデルの説明

(1)顧客接点=クロスメディア事業プラットフォーム

ひとつのIPを、顧客接点である様々な事業プラットフォームに水平展開し、IPを磨き上げ、ファンの拡大を図ります。また並行して、そのようなIPを複数展開することで、さらなる収益化を図ります。
そして『ウルトラマン』のように、映像やゲーム、パチンコ・パチスロなど様々な接点でIPをシリーズ化することでレバレッジを効かせ、さらなるIPの育成および収益化を目指します。(図1)

(図1)[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデル
図:[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデル

(2)顧客接点の積み増し

各IPにおける事業プラットフォームの広がりに加え、(図2)の展開例のように、各事業プラットフォームにおける縦の積み増しの展開によっても、さらなるIPの育成と収益拡大を図ります。

(図2)各事業プラットフォームでの顧客接点の積み増し
図:各事業プラットフォームでの顧客接点の積み増し
図:映像事業プラットフォームクローズアップ
(図3)映像事業プラットフォームクローズアップ

例えば、映像事業プラットフォームには、テレビや映画に加え、SVOD(定額制動画配信)など複数の展開先メディアが存在します。さらに、テレビや映画のシリーズ化のように、各事業プラットフォーム内で顧客接点を豊富に創出することで、縦の積み増し展開も推進します。(図3)
各IPにおける事業プラットフォームの水平展開および各事業プラットフォームにおける縦の積み増しを、複数のIPで同時展開することで[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデルにおける収益拡大を目指します。

2. 事業バリューチェーンをベースに
[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデルを遂行

事業バリューチェーンが有機的かつ円滑に機能してこそ、[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデルで描く事業展開が実現します。そのため当社はまず、事業バリューチェーンの再構築に注力し、盤石な礎のうえに、[IP×事業プラットフォーム]のマトリクスモデルを機能させることで、収益拡大を目指します。(図4)

(図4)事業バリューチェーン×マトリクスモデル
図:事業バリューチェーン×マトリクスモデル

[1]IP戦略

IP戦略として、以下の3点を推進していきます。

  1. 1. 特定のIPのヒットに依存しない「IPのポートフォリオ経営」を推進
  2. 2. [リブート×クロスメディア]で成功するIP企画に注力
  3. 3. グループ全体のIPを統合的にマネジメント

1. 特定のIPのヒットに依存しない「IPのポートフォリオ経営」

(1)IPのポートフォリオ経営

(図5)
図版:IPのポートフォリオ経営

(図5)は、これまで当社が商品化をしたIPについて位置付けをしたものです。縦軸を「当社としての商品化の幅」、横軸を「IPの創出時期」と定義しています。

この3カ年は特に、『ベルセルク』、『GANTZ』、『AKB48』など、若~青年層に浸透している「リセント/カレントIP」および『ウルトラマン』のように中高年層に広く浸透している「レジェンドIP」に注力します。
加えて、当社グループが新たに創出するオリジナルIPについては、「リセント/カレントIP」を目指す「チャレンジIP」と位置付け、育成を図ります。

(2)IP編成

編成済みIPの収益化とともに、中長期的なポートフォリオの見直しを図ります。選択と集中を進め、より収益化が見込まれるポートフォリオの構築を図ります。

(図6)中長期の編成イメージ
図:中長期の編成イメージ
(図7)
図:中長期の編成イメージ

2. IP企画への注力

「リセント/カレントIP」「レジェンドIP」の「リブート」と、多様な事業プラットフォームへの「クロスメディア」展開の掛け合わせで成功するIP企画を推進します。

IP企画の定義

  • IPを徹底的に掘り下げ、対象メディアの特性に合わせて、IPの魅力を最大限に引出した「企画」に練り上げること
  • 対象となるメディア(複数)やフォーマット(RPGなど)での成功のために必要十分な条件を持つIPを厳選し、さらに各メディア・フォーマットでの最適化のためにリメイクなどを企画すること

3. グループ全体のIPを統合的にマネジメント

グループ全体のIPを統合的にマネジメントするため、2017年4月に「IPマーケティング室」を社長直轄組織として設置しました。これにより、クロスメディア事業およびパチンコ・パチスロ事業におけるIP選定、IP別の投資規模、そして投資後の収益管理などを一元管理する体制となりました。

また、従来の事業ごとの収益管理中心から、IP別の「ROI」を中心指標として設定しました。
この指標は、グループ全体の事業計画に基づいたIPの投資意思決定、プラットフォームごとの中期事業計画、執行役員会などでの進捗確認およびコレクティブ・アクション、グループ会社も含めた業績評価などに活用するとともに、マネジメント意識の改革に取り組みます。

IP ROI(Intellectual Property Return On Investment)

ROI(Return on Investment)投下資本利益率:投資した資本に対し、得られた利益の割合を示す指標

組織変更についてはこちらをご覧ください

[2]事業プラットフォームからの視点

1. バリューチェーン×マトリクスモデル

(図9)
図:バリューチェーン×マトリクスモデル

当社は、コミック、映像、ゲーム、パチンコ・パチスロなど、様々な事業プラットフォームに商品やサービスを展開しています。(図9)IPの特性に合わせた企画により、形を変えながらビジネスを展開できることが、当社の強みのひとつです。また、パチンコ・パチスロは、ユニークかつ大きな事業プラットフォームであり、これを十分に活かしながら、パートナー企業とともに利益拡大を目指していきます。

2. 新規事業プラットフォームの創出

『ウルトラマンゼロ』の360度全周立体映像VRシアターシステム「4D王」への映像提供などからスタートした、VR(Virtual Reality=仮想現実)事業など新技術領域での事業プラットフォーム拡大を図ります。

  • VR(Virtual Reality=仮想現実)
  • AI(Artificial Intelligence=人工知能)
  • MR(Mixed Reality=複合現実)
  • 5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)

・・・and more.

3. グローバル事業開発の推進

『ウルトラマン』をドアノックツールとしたグローバル事業開発

© 円谷プロ

グローバル事業開発では、知名度の高い『ウルトラマン』をドアノックツールとして有効活用し、中国などの海外現地企業との提携を推進します。そして、当社が保有する複数のIPの海外展開を推進し、ライセンス収入拡大を目指します。また、東南アジアを中心にライブエンタテインメントの展開を推進します。

映像事業における米国や中国の配信企業との協働作品開発

米国や中国の映像配信企業と協働作品を開発し、グローバル配信を推進します。また、IPライセンス事業を加速させていきます。さらに、映像ビジネスとしての拡大はもちろん、その映像作品をフックとして、アジアをはじめとするグローバルマーケットでのマーチャンダイジング展開も推進します。

ゲーム事業における海外ゲーム企業との連携

海外ゲーム企業と連携し、海外ゲームエンジンを活用したゲームコンテンツ開発などを推進します。また、ゲームコンテンツの海外展開や、海外ゲームコンテンツの国内展開を双方向で推進します。

パートナー企業とのWin-Win関係

当社は、ライセンサー、遊技機メーカー、パチンコホール経営企業、エンタテインメント企業、グローバル企業など、すべてのパートナー企業と、Win-Win関係を構築していきます。(図10)

(図10)
図:パートナー企業とのWin-Win関係

本文中の会社名・商品名・サービス名は各社の商標または登録商標です。