フィールズの未来

フィールズの事業戦略

子どものころ、時間も忘れ、夢中になって遊んだ経験。フィールズはキャラクターやその世界観をもって「最高の余暇」を創造していきます。 代表取締役社長(COO) 大屋 高志

フィールズの考える「最高の余暇」とは

私たちはちょっとした時間に、本を読んだり、映画を観たり、インターネットをしたり、カフェでお茶を飲んだり、パチンコをしたりして時間を使います。そのように過ごす時間が余暇です。当社は創業以来、こうした余暇を最高だと感じるときはどのようなときなのか、真剣に考え続けてきました。
例えば、子どものときは誰にでも、最高に夢中になれる時間があったのではないかと思います。時間を忘れて没頭していたような懐かしい想い出、かけがえのない時間です。「最高の余暇」とはまさにこのように、子どものときに夢中になって過ごした時間のような、最高に楽しくて、ドキドキワクワクして、興奮できる時間のことではないかと当社では考えています。そして、人々の拡大する余暇時間、心の豊かさに対するニーズの高まり、それらに対し当社は「最高の余暇」を提供するため、挑戦を続けています。

余暇時間の推移(1週間累計)

グラフ:余暇時間の推移(1週間累計)

出典:総務省統計局「平成23年社会生活基本調査結果」より作成

今後の生活で重要視する豊かさについて

グラフ:今後の生活で重要視する豊かさについて

出典:内閣府「国民生活に関する世論調査」平成27年度より作成

どうすれば「最高の余暇」をお客様に提供できるか

当社は、これまでの幾多の挑戦の中で、かつて一つの成功体験を得ることができました。それは、パチンコの『エヴァンゲリオン』を生み出したことです。
1995年にテレビアニメとして放送された『新世紀エヴァンゲリオン』を、当社は2004年にパチンコ機として初めて発表しました。それから10年余り、同シリーズは新作が常に高い人気を得る定番商品となり、パチスロシリーズと合わせて累計出荷台数200万台を突破し、約7,000億円の市場を創造してきました。
パチンコはそれだけでも楽しい娯楽として多くのファンに人気がありますが、そのパチンコに『エヴァンゲリオン』という世界観が加わると、さらに楽しくなることをパチンコの『エヴァンゲリオン』は証明しました。なかでも象徴的となったのが、「暴走モード」という新たなゲーム性でした。パチンコ機の機能として「突然確変*」という「出玉のない大当たり」があります。「出玉のない大当たり」なので、当然、プレーヤーに人気のある機能ではなく、この機能を搭載したパチンコ機は当時ほとんど発表されていませんでした。そのような中、パチンコの『エヴァンゲリオン』では、この機能に原作アニメの世界観にある“暴走”という要素を融合させ、プレーヤーが今までに体験したことのない、期待をして興奮できる新たなゲーム性を生み出しました。『エヴァンゲリオン』というキャラクターやその世界観を活用することで、従前のパチンコの勝ち負けだけではない、新たな遊技価値を生み出したのです。
こうした経験を通じ、当社では「既存の娯楽やレジャーにIP(知的財産)を掛け合わせるともっと面白くなる、そしてそれはビジネスとしても成功する」、そのように考えるようになりました。

* ‌大当たり後、次の大当たりまで確率が変動する(当たりやすくなる)ことを「確率変動(略称:確変)」という。通常、大当たりで出玉が出た後、この「確変」の状態になるが、「突然確変」は大当たりの出玉がなく、いきなり「確変」の状態になる機能のことを指す。

テレビアニメのストーリーにおいて、『エヴァンゲリオン』が制御不能となり“暴走”するシーンと、パチンコの「突然確変」という機能を融合させ生み出された「暴走モード」。パチンコの『エヴァンゲリオン』は、革新的な一台として、以降のパチンコ開発に大きく影響をもたらすこととなった。

『エヴァンゲリオン』

新世紀エヴァンゲリオン

映画監督・庵野秀明氏による日本のアニメーション作品。1995年から1996年にかけ、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が放送され人気を博す。
物語の舞台は近未来の日本。主人公の14歳の少年、碇シンジが汎用ヒト型決戦兵器「エヴァンゲリオン」に搭乗し、正体不明の敵「使徒」と戦う。戦いの理由すら曖昧な謎の多いストーリー、碇シンジと同い年の綾波レイやアスカといった個性的なキャラクター、名セリフの数々、特徴的なカラーリング、印象的な演出などにより若年層を中心に支持を得る。
2004年のパチンコ機のヒットにより、普段はアニメを見ない層へも認知が高まる。
2007年から映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの公開が始まり、さらにファン層が拡大。
2012年の最新作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開前には150社以上の企業がタイアップやコラボレーションを展開。2012年までに関連商品の市場規模は推定で1,500億円超と言われ、人気は国内にとどまらず、海外へも広がりを見せている。

多分野にわたる『エヴァンゲリオン』を活用したタイアップ、コラボレーション

いかにして戦略的にIPを創出、育成するのか

近年、若い世代のテレビ離れが進んでいると言われています。日本のテレビ放送が始まった1953年以降、毎週テレビで見るアニメやヒーローを楽しみして一週間を待ち遠しく過ごした時代とは異なり、日本の「インターネット元年」と言われる1995年から現在までの20年、メディアの様相は大きく変化してきました。インターネットの普及に始まり、それを支える通信インフラの発達、携帯電話の普及、スマートフォン、タブレット端末の登場と、現在はより身近にメディアを楽しむことができ、自分の嗜好に合うコンテンツを、好きなときに好きなだけ楽しむことができる環境です。では、かつてテレビを通じ多くのファンを楽しませ、社会現象を起こしてきたキャラクターやストーリーなどのIPは、近年ではどのようにして生まれるのか。それは特定のメディアに特化したIPではなく、コミック、テレビ、ゲーム、玩具など、エンタテインメント分野の様々なメディアに展開され、それらが相互に作用し合いながら、やがて社会現象を起こすようなIPへと育つことで生まれています。つまりビジネスとしては、特定のメディアのためにそれに適するIPを創出するのではなく、まずIPを創出してから、それを様々なメディアに展開するという、いわゆるクロスメディア展開がより重要だと考えられます。
当社は、パチンコの『エヴァンゲリオン』を創出した経験から、世の中の人々がメディアよりもIPのストーリーや世界観によってもたらされる体験を楽しんでいることに気づき、IPを中核とした事業を展開していくことを考えました。どのメディアからスタートしてIPの人気を高めていくかという順番が重要ではなく、IPをエンタテインメントの様々なメディアへ横断的に展開することが重要だと考えています。
メディアの主役は時代の移り変わりとともに交代していきます。エンタテインメントの世界では、新聞、ラジオ、テレビ、携帯電話、スマートフォンとメディアの主役が交代するたびに、脚光を浴びる企業も移り変わってきました。当社では、ある特定のメディアに適合するIPを創出するために全力を注ぐのではなく、IPを中核に据え、様々なメディアへの横断的な展開によってIPを育成することに注力し、そのための体制の構築に取り組んでいます。

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フィールズが推進する事業モデル

写真:代表取締役社長(COO) 大屋 高志

出版社、テレビ局、玩具メーカー、ゲーム会社など、エンタテインメントの各メディアには、素晴らしい実績を積まれた企業が多数存在します。当社は出版社でも、テレビ局でも、ゲーム会社でもないので、それぞれのメディアの有力企業と競合することなく、またメディアの好不調の波に影響されず、優れたノウハウ、知見を有する各有力企業とパートナーシップを築き、ともにIPを育成することで、持続的なWIN-WINの体制を構築できるよう努めています。
例えば、前出の『エヴァンゲリオン』は、テレビアニメの放送から数年後、パチンコに展開したことで、再び人気を取り戻しました。そして、新たなストーリーが創られ、再び映画として映像コンテンツが生み出されたことで、さらにファン層が拡大し、様々な業種の企業とのコラボレーションが次々に実現していきました。現在の『エヴァンゲリオン』の人気はまさに、様々なメディアへの展開が相互に作用し合った結果、IPを大きく成長させることに成功した事例です。
また、『AKB48』という日本の人気アイドルグループがあります。当社はそのIPをお借りし、ソーシャルゲームやショップなどを展開しています。当社がアイドルグループをプロデュースして競合するのではなく、『AKB48』というIPを一緒になって盛り上げられるようクロスメディア展開を推進しています。特定のメディアに依存することなく、パートナー企業との協業によって、IPを育成している事例です。

このように当社は、エンタテインメントの領域に存在する各有力企業と競合するのではなく、協業してIPを育成し、収益を上げる事業モデルを推進しています。当社が創出したIPについても、エンタテインメント分野の様々な企業との協業によって、『エヴァンゲリオン』や『AKB48』のように大きく成長させられるよう取り組んでいきます。

『AKB48』

「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、東京・秋葉原の専用劇場を活動拠点とする日本の女性アイドルグループ。2005年結成。総合プロデューサは秋元康氏。2008年以降、『SKE48』(名古屋市)、『NMB48』(大阪市)、『HKT48』(福岡市)、『JKT48』(インドネシア・ジャカルタ)、『SNH48』(中国・上海)と国内外に姉妹グループを結成。「選抜総選挙」や「選抜じゃんけん大会」など様々な仕掛けでファンを楽しませ、その人気の高さから日本の音楽シーンのトップクラスを走り続けている。2015年8月に発売したシングル曲で国内音楽史上最多の22作連続ミリオンセラーを達成。

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